2018聴いたブツ/日々のメモです

ツ イート


Snakefinger/ Chewing Hides The Sound

スネークフィンガーのソロが僅かに再発されていることを知った。それらを買わずにフォルダの奥底にあるこれを久々に聴いた。
「モデル」のカバーが目玉なんだけど、個々の曲も良いもの揃いなので要再評価。
当然ながらギターは勿論、リバーブに至るまでレジデンツ80年前後の諸作っぽくて落ち着く。タキシードムーンやMX-80サウンズと違ってブ ルース調なところに世代が出ている。レゲエ風のギターを持つ2曲目なんか特に良い。

電気グルーヴ / MAN HUMAN / 今夜だけ
湯 浅政明監督『デビルマン Crybaby』の主題歌と、挿入曲を収録したEP。CDでは2曲だけっぽいが、デジタル版だと電グルによる主題歌とそのバージョン違いも集録されている。挿入曲は卓球と 七尾旅人のコラボレーションによる「今夜だけ」で、過去に出た旅人とのコラボよりも良い、というか比類するものが他にない境地。
Thor and Friends / The Subversive Nature of Kindness
スワンズにも参加しているパーカッショニストのプロジェクトで、本作にはマイケル・ジラも参加。近年のスワンズにもたっぷり含まれているラーガ含 めた東洋的エッセンスだけで作った一枚。画一的なドローンではなく、パーカッションのリズムで酔わせてくるのは流石。
Steven Stapleton & Edward Ka-Spel / The Man Who Floated Away - A Misleading Teaser
エドワード・カ スペル(レジェンダリー・ピンク・ドッツ)とスティーヴン・ステイプルトンによる共作。デジタル版はフリーだが、本作はスプリット12"であり、 入手できるのはA面、それもショートverだ。B面はコリン・ポッターとクエンティン・ロレットによる共作で、こちら(とアートワーク)含めてフィジカルで買い ましょう。
Cromagnon / Cave Rock
ESPから出ている唯一のアルバム。如何にもなサイケデリックに、コラージュまで多用された不思議な一枚。名前が微妙に変わって再発され続けてい るので、間違えて買ってしまった。ウィリアム・ベネットもお気に入りだそうで、ノイズをバックに喘いだり、ブツブツ喋っているところはホワイトハ ウスっぽい。「カレドニア」が名曲。
山下毅雄 / 黒猫/黒い足音
60年の仕事だそうで、あまり注目されていなかった劇判2つをコンパイル。かなりアヴァンギャルドな内容で、ウワモノとしてサンプリングされないわけ がない、ドープな音響てんこもり。ジャケットも素晴らしいね。
石野卓球 / The Rising Suns
『TITLE #1』が出た時期のシングルだったかな。目当ては「ウォーム・レザーレット」のカバー。エレクトロ・クラッシュが盛んだった時期なのか、低音強め。
Fred Frith / Gravity
久しぶりに聴いたらとっても良かったアルバム。あまり聴き返してこなかった作家なのだが、たまたま難解な作品ばかりに触れていたせいで距離をとっ てしまっていたのかも。民族音楽調の優雅かつハチャメチャな構成の楽曲がノンストップで続いていく前半が気持ち良すぎ。いわゆる第三世界なんて呼び方をするようなイロモノ扱いをしているとも思えない。
Boris Hegenbart / INSTRLMENTARIUM
19人のアーティストから得た素材を再構成したという作品。フレッド・フリス、フェリックス・クービン、オーレン・アンバーチなどが参加。グリッ チとドローンがメインでマニア向けな感じも否めないが、それぞれの曲が独特のタッチを持っている。濫造という印象はない。
Remo De Vico / Omicron Nocturne
イ タリア発のミュージック・コンクレート。トイ・ポップとノイズが交差するキッチュな仕上がりで、退屈しない。アイデアというよりは、その構成に妙 がある。
アートワークも素晴らしく、音とマッチしている。
Sol Invictus / Necropolis
ソ ル・インヴィクタスの新作。辛気臭いネオフォークというイメージは昔の話、ノンストップで続いていく美しいバラード集だ。コーラスやピアノの バッキングがトニーの歌声と物憂げなメロディを支える。現在のカレント93と同じく、楽団としての成熟を見せた力作。その詩は死の街へと近づいた(とトニーは判断する)ロンドンへ捧げられている。
Boyd Rice / Spoken Word Album
2007年に録音した朗読を収めたというCDr。過去の楽曲に使われたものも多く、英語のヒアリングの練習にもなる、かな?ウェイル・ソング・パートリッ ジに尋ねてみたら、なんとボイド・ライス本人のサイン付で送ってもらえた!
 :TROTH: / Per Angusta Ad Augusta
パー トリッジにボイドのアルバムと一緒にもらった一枚。ネオ・ペイガニズム探求者であり、ルーン研究の大家でもある魔女、フレヤ・アズウィンのマネージメントも果たすトロス ことフランク・ギーンズのアルバム。パートリッジ含めた何人かのゲストをボーカルとして招いている。フレヤによるエッダの詠唱にも象 徴されるように、音楽というよりは儀式をパッケージした内容だ。
Chris Carter / Chemistry Lessons Volume One
クリス・カーターの新作は過去に作ったマテリアルから選び抜いたものだそうで、タイトル通り続編もあるようだ。スリージーが関わったものも多いら しく、どことなく晩年のソロや、タイム・マシーンズの没テイク(USBで出たやつね)に近い音もあって興味深い。ピンク・フロイドやタンジェリ ン・ドリーム直撃世代ゆえに、「当時の」エレクトロニック・ミュージックっぽさが〇。フォーク・ミュージックらしくもあると話していたが、流行り 廃りから離れた工芸品のような佇まいが落ち着く。短い曲が沢山入っているところがレジデンツの『コマーシャル・アルバム』的で、シャッフルで適当 に流すのも良い。
Lucrecia Dalt/ Anticlines
ベ ルリン在住の作家によるサウンド・アート的なアルバム。キャプションにもあるようにロバート・アシュレイを彷彿とさせる。言葉も主題にしが ちだったアシュレイよりもストイックに音のみを追求しており、人の声も当然マテリアルの一つ。その点では敷居が低い。大音量で個々の音の輪郭を捉えてみてはいかが。
Oneohorix Point Never / Age Of
どんどんハードルが高くなっていく、その過程も楽しめないといけない気がしていたOPNだが、今回は展開からサンプルまで明快で、聴いていて面白 い時間が多々ある。「ザ・ステーション」や終盤の3曲に顕著で、とても親切に感じられる作品だ。プロデュース業も多くなってきたことも関係あるの だろうか。アノーニの声なども素材にされているが、「フィーチャリング」とは程遠い、マテリアルとしての使用にNWWやコイルの影を見た!!
AUBE / 2002 Vol.1
AUBEの再発シリーズ。赤痢の大西あやさんがドラムで参加したライヴなどを収録。アナログシンセを真っ当に駆使したサウンドにシフトしただけで なく、ドラムが加わったことで、それまでのAUBEとは全く違った世界になっている。手本にしていたクラウス・シュルツェには出せないケレン味が ◎。一連の再発シリーズでは、これが一番気に入った。
ラーメン大好き小泉さん オリジナルサウンドトラック / ラーメン大好き田中さんと細野さん
テレビアニメのサントラ。原作未見につき、多くはコメントできない。ファンの方が見ていたらスマン...。
買った理由は作曲が田中貫(サニーデイ・サービス)やマツキタイジロウ(スクービードゥー)らギタリストによるものだったから。曲名からもわかる ようにひたすらパロディ、パロディで頼まれ仕事だからこそ出来る内容である。何故かフランキー・ナックルズやクラフトワークネタまであって脱帽。
Eric Dolphy / Out to Lunch!
言わずと知れた名盤なのだが、実は全く聴いたことがなかったので、この度初体験。コラージュや現代音楽、アヴァンギャルドと括られる世界か らフリージャズに入った人間なので、どの瞬間もパッチワーク的に聞こえてしまう我が耳を呪うと同時に祝福した。人間が演奏してるように聞こえない んだもの...。親の世代がこんな音楽を身近に嗜んでいたとは不思議なもんです。タイトル曲が素晴らしい。
Coil Presents Black Light District / A Thousand Lights In A Darkened Room
96年にコイルが別名義で出したアルバム。ロシアの
Infinite Fog Productionsと英国のDaisから同時に復刻されるという複雑な事情を持っている。私が買ったのは前者に日本語ライナーと帯を付けた国内流通盤で、こちらには未 発表曲が入っている(Dais盤にはなし)。エレクトロニカに移行し始めた時期の作品で、ダンスに傾いた『LSD』と、ドローン一本の『タイム・ マシーンズ』の中間にある内容だ。最後の「Chalice」が名曲。IFP盤はジャケットの色味に難ありと言わざるを得ないのだが、どうしてこん なことに?
電気グルーヴ / TROPICAL LOVE TOUR 2017
2017年のライヴ音源。今までは観客の歓声含めて収録していたが、今回はラインから録音したものなので、トラックやボーカルがよく鮮明になっている。自分が大阪で見た時は「N.O.」に合わせて元ネタであるアンドレアス・ドラウを歌っていたが、権利的に厳しいと判断したのか、このテイクでは山下敬二郎の「ダイアナ」を歌っている。こちらはいいのか?「いちご娘」に歌詞をつけているバージョンが◎。全体的にヴィンス・クラーク在籍時のデペッシュモードのような無邪気さが微笑ましい。
Andor / I Hate Myself and I Want to Die​
/​Ultraporcelainpuppy

『FEECO Vol.1』にも掲載したAndorの新作。ローファイで少しミューザックといった趣のスケッチ集。相変わらずフリーゲームの素材っぽさがたまらない。
Kira Kira / Alchemy & Friends
アイスランドの女性アーティスト。チェンバー+ウィスパーボイスという珍しくない組み合わせなのだが、裏で佇むように鳴り続けるパッドが実にいい味を出している。アイスランドという土地柄に引っ張られすぎるのは良くないが、後半へ進むにつれて、超自然的なサウンドスケープが出来上がっていく様は気持ちよい。「パイオニア・オブ・ラヴ」が◎。
COSMIC CIRCUS MUSIC / Wiesbaden 1973
まともな記録が残っていないジャーマン・ロックグループの貴重な音源。長尺のジャムを2曲収めていて、ドラムが出張ってくる中盤からどんどんかっこよくなる。ヒッピー臭の強いタイプで、グル・グルのようなフリージャズ派というよりはゾールに近い。実際にティム・ベルベも参加しているし。新しいドイツ観を求め、遅れてやってきたサイケデリックに溺れていた時代の記録。
V.A  /
Par Hasard: Chance Composition 1913-1951
ダダをテーマにしたパフォーマンスが収録されたコンピレーション。ピアノを用いたものだが、マルセル・デュシャンによるプリペアドピアノものは、ドローン的に加工されており全く古くない。ケージの方は演奏とそれ以外の時間をくっきりと表すシンプルな試みで、それほど大層なものではないが、テープものばかり触れていたせいもあって新鮮だった。
Conrad Schnitzler / Filmmusik 2
シュニッツラーのお蔵出し。正確な時期は不明だが、70年代のフィルム用に作ったものなのだそうだ。NWW『サンダー・パーフェクト・マインド』的なリズミックノイズに驚き、一聴してドイツ産とわかる電子音のタッチにうっとり。
Zu93 / Mirror Emperor
デヴィット・チベットがイタリアのZuに招かれ、アルバムまで作ってしまった。プログレと欧州フォークに傾いたカレント93、メタルにどっぷりなヒプノパズーズときて、こちらはチェンバーな内容である。
とはいえ、間違ってもクレプスキュールから出るような内容ではなく、ゴシックな佇まいを維持している。
Zuの演奏もチベットの歌を支える屋台骨的な役割だが、ところどころ現れるトレモロやアルペジオの妙が心地よく、チベットのテンションと同期するかのよう。
紹介文にある「あれは黙示録だったのか?」は、チベットが今の世界をどう捉えているかを端的に表すフレーズだ。歌詞を読みこまねば。
POLTA / LOVE TO DIE
EPをはさんでの2nd。90sクロスビート育ちといった趣のフレーズが炸裂し、更には「イエスタデイノーモア」のまんまジョイ・ディヴィジョンなベースラインが出てきたりして、これまた彼の時代の香りが。エンドロール「ラストストップ」が◎。
主題歌を提供した『なっちゃんはまだ新宿』は未見。近くの映画館でやっていたというのに...。
Melvins / Pinkus Abortion Technician
精力的にリリースするが、その分落差も激しいメルヴィンズ。今回はかつてのカバーアルバムを彷彿とさせるもので、ビートルズのカバーが白眉。自分としては、激遅鈍重なスラッジは本人らとフォロワーのおかげで飽食気味なので、こういうジョークまじりのカバーの方が心地よかったりする。歌も上手いしね。
Megas /    
Hættuleg Hljómsveit & Glæpakvendið Stella

アイスランドではかなりの知名度を誇るシンガーソングライターらしい。このアルバムではコーラスで参加しているビョークへの影響も大で、ライナーには一緒に撮影した写真も収められている。過去の作品ではヒルマー・オーン・ヒルマーソンがプロデュースしているものもあり、アイスランドのポップ・ミュージックを語る上では欠かせない存在のようだ。どことなく歌声がD.Tibetに似ており、揚々と歌う様が微笑ましい。
Sorrow / Under The Yew Possessed
ローズ・マクドウォールがロバート・リーと組んだユニットがソロウ。ボイド・ライスとのスペルが米国のカントリーやトラッドに傾いたものならば、こちらは欧州のそれを踏襲している。この間出た新作はソロウを彷彿とさせるものだったし、これこそローズの真の姿だ。「ソングバード」が名曲。
CECIL / CECILMANIA#203
セシルがゲームソフト『ROOMMANIA#203』に提供した曲をコンパイルしたもの。正確に言うと、セシルが誕生する前からこれらの楽曲は存在し、セシルビートやフローラといった名前でゲームに収録されていた。セシルとしてのアルバムを作る際にリメイクされたのである。ゲームに収録されていた「人工衛星」は男性ボーカルだったが、あれは誰なのだろう。酷い価格で売りに出されたまま長い年月が経っていたが、安価で中古が出品されていたので購入した。やっと手に入れた・・・
Jon Hassel/ Listening to Pictures
ジョン・ハッセルの新作。イーノとやってたようなものになると思いきや、そこまで古臭い内容ではなかった。曲ごとに作風が散らかっていて、よい塩梅。ノイズをサンプルにしてループさせるのも面白いが、もっとトランペットを使ってくれたら、とも思うが。いかにも鎮座して鑑賞しなさいと言いたげなタイトルだが、4曲目なんかは普通に踊れるような・・・。
former_airline / 2011 OR SO…
former_airlineの編集盤。過去の作品から抜粋したものに加え、未発表のものも収録。
抒情的だが終始ドライな佇まい、ポストパンクを彩った音、たとえばスーサイドあたりの影が。ライブを見てみたい。
電気グルーヴ / クラーケン鷹
配信限定のライヴアルバム。『TROPICAL TOUR』はライン録音だったが、こちらは従来のライブ録り(客席からの音込み)である。
新しいエディットの「ガリガリ君」や生ギターを招いた「猫夏」が◎。手弾きシンセが乗っかる「UFOholic」も素晴らしいね。最後は日出郎。
COLD CAVE / You & Me & Infinity
コールド・ケイヴの新EP。スミス、キュアー、デペッシュ・モードの面影はもちろん、ますますニュー・オーダーらしくもなり、泣きメロ連発。ルックス含めて、このスタイルを維持し続けるのがかっこいい。ボイド・ライスと一緒に来日してくれないかな?
Penny Rimbaud / Oh Magick Kingdom
ペニー・リンボーが2011年に出したアルバムの再発。
長いインスト2曲に挟まれてリンボーの語りが続いていく構成。カレント93にも共振する世界を展開。本来はこういう人だとは知っているけど、それだけに詩を理解できないと辛い。
The call of Lovecraft / Laurent Saïet
クエンティン・ロレットが参加していることから購入。
タイトル通りラヴクラフトをテーマにしたインスト集で、曲名も「ダゴン」や「ミスカトニック」と直球。
テーマがテーマだけに、どんな場面で鳴っているか、想像する映像的な楽しさを与えてくれる。飽きません。
Sugai Ken / てれんてくだ
コンクレート、それも90年代的なそれで、使っているネタが日本のテレビだったりしてニヤリ。面白いのは暴力温泉芸者やダムダムTVのような海賊放送感は薄く、より無国籍、匿名性の高い作品になっていること。
佐藤千亜妃 / SickSickSickSick
きのこ帝国のボーカルのソロで、砂原良徳が共同プロデュース。バンドは未聴だが砂原仕事をチェックする一環で聴いてみた。コーラスの鳴りがシンセっぽいあたりは流石である。佐藤氏のエッセンスによるものなのか、ACOやスーパーカー、日暮愛葉らとやってきた仕事のどれよりも昔聴いたことのあるような、デジャヴにも似た感覚が。そして、それが昨今の潮流とピッタリなのだから驚き。「Signal」と「Bedtime Eyes」が◎。
COIL / Astral Disaster Sessions
コイルの『アストラル・ディザスター』録音時の蔵出し音源。やはりマニア向けの域を出ないアイテムだが、別テイクではなく未収録の曲として引っ張り出された「コズミック・ディザスター」はなかなか良い。600枚限定、日本語ライナー付。
中森明菜 / 不思議
本人プロデュースによる怪作としても名高いアルバム。嬉しいことにSpotifyで聴けた。このリバーブは何を意図したのか不明だが、ボーカルからフィードバックノイズまで一つの塊にしたシューゲイザーにも通じる佇まいが凄すぎる。「マリオネット」が◎。
The Residents / I am a Resident!
レジデンツの新作。国内盤では『シン・レジデンツ、もしくはレジデンツのドンとやってみよう!』というボンバ時代を思わせるタイトルが付いている。ライナー込でこちらに魅せられたが、曲だけSpotifyで先に聴いた。寄せられたカバー曲を素材にした1枚目と、集められた中でも本人らが気に入った曲を収録した2枚目から構成されている。1枚目は1曲が10分超えのものばかりで、ところどころマッシュアップされており、メガミックス、いや今風に言えばミックステープのような仕上がりに。どれだけ料理されてもレジデンツのオリジナルに聞こえるのは素材の良さというよりは、カバー主たちの礼儀作法によるものだろう。良きファンに恵まれたことを証明する、なんとも微笑ましいアルバムだ。
Colored Music / Individual Beauty
最近再発された音源で、こちらもSpotifyにあったので聴いてみた。YMOのサポートをしていた二人によるユニットという触れ込みだったが、彼らに加えてイーノ期のトーキング・ヘッズも想起させるサウンドで、良い意味で期待を裏切られた。1曲目なんて「イ・ジンブラ」そっくりだ。オーガニックなフレーズにギターが絡むというだけでニヤケる。ユニット名を冠するアルバムも再発されたようで、そちらもチェックしてみたいところ。
V.A. / 悪魔の黙示録
高橋美由紀原作のドラマCD。原作は未読であるが、安かったので。
なんかスマップみたいなイメージソング、ミューザック手前なインスト、長尺のボイスドラマと完ぺきである。『デビルマン』に影響を受けた作品の一つ、ということで良い?
Rudolf Eb.er  / Om Kult : Ritual Practice Of Conscious Dying - Vol. I
大阪在住のルドルフ・エバーが出した新作。リチュアルの名を冠する短いハーシュノイズを収録したアルバム。たまたま実現できたパターンを無責任にパッケージしただけのものとは一線を画しており、それはパン振りや位相の移り変わり一つとっても伺えるのでヘッドフォン推奨。ライヴをするとしたら、この音を再現するのだろうか?
V.A. / AVANTGARDE Is Happening
ファウストのペロンが主催するアヴァンギャルド・フェスティヴァルのコンピレーション。歴代参加者たちの音源を収録しており、クラスター(頭文字がQ)、NWW、アスムス・ティーチェンスなど。アヴァンギャルドの名を冠するのに異論はないが、ドイツ式と添えておいた方がいいんでない?
Mirror ‎/ Viking Burial For A French Car
アンドリュー・チョークとクリストフ・ヒーマンのデュオだが、この作品は把握していなかった。Boomkatでデータ販売されていたものを購入。CDでは冒頭に1分だけのトラックがあるようだが、一つのファイルしか入っていなかった。『England's Hidden Reverse』著者のデヴィット・キーナンが何故か参加している。何をしているかは不明だ。
Yellow Magic Orchestra / NEUE TANZ
デビュー40周年を記念したコンピレーション。テイ・トーワ選曲、砂原良徳リマスター、ジャケットは五木田智央という、ファンが妄想したようなラインナップである。なかなか思い切った選曲で、一般的に知名度の高い2ndからは収録されておらず、「スポーツ・マン」など、各人のソロからも一曲ずつ採用されているのも渋い。「シムーン」や「ナイス・エイジ」が特に楽しんで聴けた。「BGM」が持つ、あのモヤがかった音は扱いに困ったことだろう。お祝いだけではなく、現代の音楽と比べても遜色ない、または一回りしての合流を検証するような趣旨もあり、そこも十分に果たされていると感じた。
Scoobie Do / BOOTLEG-TIC GIRL 4
スクービーのライヴ盤第4弾。2012年に行なわれた二つのギグからセレクトしたもの。「メロウ」サイドにはホーンやキーボードが参加しており、「ビーチパーティー」や「サンセットグルーヴ」など珍しい曲を披露する。「ファンキー」サイドでも初期のナンバーが目立つファン向けの選曲だ。歌い方が今とも微妙に違っていて、成長というか変化が割と短いスパンで起こっていると確認できた。震災から一年経った時期の記録で、まだ世間は催し事全般に引け腰だったような、どうだったか。『ダンスホール野音』のMCを聴いた後に振り返ると、少し重い気持ちになる時期の記録。
Nurse With Wound / NERVE JUNCTION
NWWが10月のロンドン公演(with カレント93)の物販で販売した音源。いつもはCDrだが、今回はCDであった。内容はいつかのライヴ録音。
今年も訪れたStevenの工房内でこれのケース作りからパッケージングまで手伝ったのは、この先忘れない思い出となるだろう。今ならストアでも買えますよ。
Nurse With Wound / Experimente II - Son of Trippin' Music
発売予定の3LP BOXからのCD化らしい。
ややリズミックなノイズまたはドローンで、最近のNWWらしい音源が収められている。3曲目のアンビエント風なタッチは少し珍しく、言われなかったらNWWとわからないかもしれない。
Current 93 / The Light Is Leaving Us All
NWWとのロンドン公演当日に発売となった新作。別プロジェクトであるヒプノパズズやZU93を挟み、満を持しての発表となったが、これがまた見事なまでに二者とカラーを使い分けており、ここまで精緻に作り上げられるのかと驚いてしまった。
オーボエやハーディガーディとしてミヒャエル・ヨークやオシアン・ブラウンが参加していることからも、2年前のシャーリー・コリンズのアルバムに近いアシッドフォークだ。Stevenが参加していた頃に顕著だった空間系のエフェクトは控えめで、音は良くともオーバープロデュースではないのがポイント。コリンズやComusに連なりはするが、比類する存在が他に見当たらないステージへまた一歩...
Hinosch / Hands
Goat、ソロのYPYなど、多数のプロジェクトで活発な日野浩志郎氏と、デュッセルドルフのシュテファン・シュナイダーのユニット。やや荒い音と、所どころ奇妙なリズムが織りなす物憂げな時間は、昨年出たデュッセルドルフ産NDWコンピにもあった独特の感触がある。アスムス・ティーチェンスのファンに薦めたい。昨年神戸で見た二人のライヴが思い出される。
Leo Okagawa / composed materials (for 2018​.​09​.​22)
東京で活動されている岡川玲央氏の「マテリアル」で、ライヴではこちらをリアルタイムでミックスしたとのこと。中身は主にノイズと環境音で、正に叩き台。真相と変化を確かめたくば現場へ、という結論に。
ハンドメイドのパッケージで、ご本人のbandcampから購入。
Roger Doyle / Rapid Eye Movements
隣の音源はなんとなく音の粗さが同じころに聴いたロジャー・ドイルのこれと近かった。こちらはまごうことなきコンクレートで、United Dairiesから出たオペレーション・シアター名義の音源目当てで購入した。主な録音期間は80年前後。タイトル曲二つの展開はスリリングかつユーモア満点で、同時期のNWWとも共振する。アイルランドの王立音楽アカデミーで学んでいたドイルだが、やけに音がいいのは相応のスタジオが利用できたから、と納得。ピアノが主題の3曲目も良い。ドイルは劇のスコアなども手がけており、オペレーション・シアターとしての音源しか日本では認知されていませんが、なかなか面白い御仁ですよ。こちらから。
Merzbow + Hexa / Achromatic
Daisから出たメルツバウの共作。最近はあちこちから出すので追いきれない...。アナログ回帰を経て久しいと思うのだが、本作はパワーマック時代を想起させる場面が多く、ちょっと懐かしい気分に。part4なんて低音のループが『メルツブッダ』そっくりだし。しかし、その裏でパーカッション的な音が不規則に鳴り響くあたりはドラムを導入したメルツバウのそれとも異なる印象を持ち、過去の再現に終わっていない。
Yellow Magic Orchestra /
Yellow Magic Orchestra US version

40周年記念再発の第一弾(他は1stと『ソリッドステイト・サヴァイヴァー』)。リマスターは海外のエンジニアに依頼したそうだが、『NEUE TANZ』を経た後だと、どうしても全曲砂原氏によるリマスターを期待してしまう。あちらは別の企画なので、それ以上を求めても仕方ないのだが。過去のものよりも音は綺麗かもしれないが、デジタルレコーディング以前の時代のものはやはり限界があるかな。とにかく『浮気なぼくら』がどうなってるかが楽しみだ。
やくしまるえつこ+砂原良徳 / Ballet Mécanique
坂本龍一のカバー。『未来派野郎』の曲はこうしてスポットライトを当てられることが少ない、気がする。原曲に忠実で、ギターだけオリジナルから引っ張ってきてリマスターしただけなのかと思うくらい(他のパートとのコントラストが面白い)。坂本本人による歌唱は誰がカバーしても差異がくっきり出るため、そこも良きかな...中谷美紀含め。
アニメ『エウレカセブン』の挿入曲らしいが、この作品がまだ引っ張られていることにも驚き。
Alison Statton & Spike/ Bimini Twist
ヤング・マーブル・ジャイアンツ、ウィークエンドで知られるアリソンが後者のメンバーと90年代に始めたプロジェクトの新作。YMG時代の鼻歌のような歌唱の方が有名だが、本作ではずっと昔のフォークのレコードを聴いているような、良い意味で距離感が遠くなった印象を受ける。オーバープロデュースというものとは無縁の人であり、その朴訥とした佇まいが変わらないのは嬉しい。
REINIER VAN HOUDT /
Igitur Carbon Copies (feat. David Tibet)

近年のカレント93でもピアノやエレクトロニクスを担当するReinierの新作。
一時期のNWWを想起させるストーリー仕立のミュージック・コンクレート。
貫徹してサイケデリックなあちらと比べて、こちらは適度に挿入される虫の鳴き声などのサンプルがマニアックな印象を中和している。C93が春頃に出したアルバムはクレジットが未記名だったが、構成からしてReinierの仕事と判断するのが妥当だろう。デヴィット・チベットが朗読で参加しており、ホラー小説の主人公のように一挙一動を語りかけてくる。大推薦。
Stine Janvin / Fake Synthetic Music
ヴォイス・パフォーマンス、オノ・ヨーコやディアマンダ・ガラスに連なるタイプである。パワエレと定義される前のホワイトハウスだって、こちら側であったはずだ。声とそうでない音の境界を行き来するような試みは、ボーカロイドやオートチューンが当たり前になった今だからこそ有効な問いかけとも言える。アルバムのタイトルは色々な受け止め方ができるけど、逆説的に声のエミュレーターとしてシンセが使われていた歴史に注目しているのは確かだ。
Nurse With Wound /
Ci-Gît / To Another Awareness

フランスのLenka Lenteが出す歴史上の作家をフィーチャーした小冊子+3"CDシリーズ。NWWもすっかり常連となったシリーズで、今回はアントナン・アルトー。CDの中身は新曲で、蠱惑的な音響が15分ほど。『リリス』にも近い、ミニマルな音響はここ最近の作品の中でも秀でている。てっきり再録かアレンジが入るかと思ってた。本人によるサイン付。
Nurse With Wound ‎/ Changez Les Blockeurs
TNBのデビュー35周年を祝して、彼らの1stをNWWが再構成。
原型(ギコギコいってるだけだが)を残したかと思いきや、突如聖歌のサンプルが入るなど少し意外な展開が。大音量で再生すると、NWW的ミキシングも相まってサイケデリックな気分になる。オリジナルは超限定生産のLPで、次いで300枚限定LP、そして本CDという順にリリース。CDにはボートラが1曲付いており、パン振りのせわしなさがよりNWWらしい。
Catherine Christer Hennix /
Selected Early Keyboard Works

スウェーデンの現代音楽家であり思想家ともいえるCatherineの発掘音源。なんでもヘンリー・フリントとも仕事したことがあるらしい。タイトル通りキーボードを使った実験的な録音が4曲。持続音の後ろに、微細ながらも多彩なパターンが現れては消えていく。その閉じた世界観はタンジェリン・ドリーム的でもあるが、あそこまで大袈裟でない淡々とした内容がまたニクい。マリンバを使った3曲目がかなりトンでます。アートワークも素晴らしい。
高橋幸宏 / Saravah Saravah!
78年発表のソロを砂原良徳がリマスター、更にボーカルを新録しての再発。オリジナルは未聴だったのでボーカルの比較に興じることはできず(でも今ではストリーミングのおかげで簡単にそれが出来る)。
クリアな音像だが、キーボードを筆頭に当時の鳴りを聞かせるところは『NEUE TANZ』にもあったマジックが確認できる。テクノロジーと砂原氏が成した大仕事だ。これとは趣向が異なるが、最近配信された細野晴臣のリライトも秀逸だったので、今の解釈を経由しての再演をもっと聴いてみたい。それにしてもインスト「エラスティック・ダミー」がかっこよすぎる。
Scoobie Do / Bootleg-tic Girl 9 Hard flare night
2017年12月に新宿JAMで行なわれたライヴ録音。メジャーデビュー以前にここで開催していたイベントの名を冠しており、JAMの閉店に伴い急遽行なわれたものだそうだ。内容も当時のレパートリーだけで固められたマニア殺しのセットだが、ちゃんと現在のバンド用に仕上げられているのは流石だ。
音源化していない「太陽にさようなら」やベスト盤にライヴ音源が入ったのみだった「木曜日のユカ」をはじめとしてレア曲多数。行けた人が羨ましい。
BRUCE GILBERT / Ex Nihilo
ブルース・ギルバートの新作。曲と呼べるような体を成していない電子音の詰め合わせで、クポルやドームにも通じるノイジーな音でありながら、クラスター的な上品さが漂う。同じ時期に聴いたPhewとAnaの『Island』と比べるのが面白かった。70年代以前に遡り、BBCのレディオ・ワークショップといった実験にも重なるところが、昨今の(シンセを用いた)サウンドアートの再発にはじまるブームともリンクしている。タイトルからして、実にポストパンク世代らしい。
The Hardy Tree / Sketchs in D Minor
英国在住の絵本作家であり、イラストレーターでもあるFrancis Castleによるプロジェクト。新作は7人のミュージシャンが77分の曲を作る企画に提供したもので、タイトル通りDの音を核とした大作。その主役はムーグで、Francisの音楽から絵本にまで通底するレトロスペクティヴなムードが美しくパッケージされている。2曲とも30分超えのという構成でありながらも、挟み込まれるジャジーな刻みや、あれこれ軌道を変える主旋律によって退屈しない。売り上げは国境なき医師団へ寄付される。
Death In June / ESSENCE!
突如発表された8年ぶりのオリジナル。その内容はスタティックなんてものじゃない、もはや千古不磨の域に達する伝統芸・ネオフォーク。それ故に言葉が重要となるので、一曲ずつ読み耽ってみたいもの。
見限った英国にわずかな関心を寄せるのは、同志だったトニーがクライシスを復活させたことと無関係ではあるまい。今再びヨーロッパ(と中東・ロシア)に立ち上る狼煙に気付いたかのようだ。ジャケットは相変わらず惚れさせる気なし。
Jim O'Rourke / Sleep Like It's Winter
発表時にハイレゾを買ってみたはいいものの、見合った環境がないことに長々と悩まされた作品。図書館で作業する時に聴いた時が一番良かった。ドローンと一口に言っても、切り口は多数あり、私はペインティングのように自己完結するセラピー的なそれが好きなのだが、ジムさんの場合は実験・観測的側面が強い。それでいて、ジャム・セッションがごとく、少しずつ輪郭を描いていくところに感嘆する。だからこそライブを見たい作品だ。ジャケットも良い。
Organum / Raven
これまた突然出てきたオルガヌムの新作。難聴が原因で引退したと囁かれていただけにアルバムとして発表したことは喜ばしい。内容は鐘の音とカラスの声、そしてごくわずかなピアノの和音。延々と繰り返されるミニマルな、しかし厳選されたピース...いくらなんでも渋すぎる。500枚限定、真っ白なスリーヴというのも相変わらずだ。サイレンからのリリース。
The Space Lady / On the Streets of Dream
チープなキーボードと60年代のSFドラマのようなルックスを携えたお婆ちゃんによるプロジェクト。レインボーなどのカバーがメインだが、ハードロック、エレキギターが持つ男性性といったものはもち皆無。サラミ・ローズ・ジョー・ルイスと重なる瞬間が幾つもあった。名前にもある宇宙のイメージは、モンド・ミュージックとして消費されてきた一連の古ぼけたレコードからそのまま抽出されたかのようだ。データ化したいまま腐らせていたようなものだが、Spotifyもあった(リリース当時はなかったような...)。でもアナログ推奨。
ヒプノシスマイク 麻天狼 / -音韻臨床-
知ったきっかけはアフター6ジャンクションの放送だったかどうか曖昧だが、とにかく速水奨がブルーハーブのBOSSっぽいラップ(歌ってる内容は恥ずかしい)をするティーザーに面喰らった。フリースタイルダンジョンに便乗と言うのも悪いが、トレンド使ってメイクマネーの潔い例、でいいのだろうか。トラックはトラップが主だが、押韻にこだわりすぎるところや、「ボコボコにしてやるぜ」系のリリックの多さは90年代すぎて、21世紀に聴くのは正直辛い。しかし、何よりも重要なのは速水奨が恥ずかしい内容のラップをしていることだ。
Andor / Everythings Ruined
謎のペースでリリースし続けるAndor。今回もローファイ、トーマス・リアばりのボソボソ声を携えたミューザック手前のスケッチ集。時折ミニマルウェイヴ極まりない、武骨な音も飛び出す。普段何してるんだろ?
Laibach / The Sound Of Music
バンドの北朝鮮公演を追ったドキュメンタリーフィルム『北朝鮮をロックした日』のサントラであるとも言えるアルバム。多くはタイトルと同名のあのミュージカルからカバーされている。しかし、白眉はやっぱり「アリラン」でしょう。映画を見ていないと、いつものライバッハという感想で終わってしまうが、それは勿体ない。なんとしても多くの人に鑑賞してもらいたいところだ。現実や歴史がどれだけ無視しようと(されるからこそ)、高々に演じられ続けるミュージカル、それがライバッハ!
Akio Suzuki and Aki Onda / Ke I Te Ki
ニューヨークのとあるビル(多くのアーティストが住処やギャラリー、ステージとして使ったそうだ)内で録音された記録。数多く設置したマイクが拾うのは無数の具体音、鈴木氏お馴染みの自作楽器アナラポスの音。TNBやオルガヌムばりに情緒・イメージを欠いた内容であり、今年出たジム・オルークやアンドリュー・チョークの作品を経た後に聴いたこともあって新鮮に響いた。NWWによるTNBリワークのようなサイケな音響効果も控えめ(一曲目に側頭部でゴリゴリされたりもするんだが)。重ねて聴くことに堪えるかどうかは確認中。
イノヤマランド / DANZINDAN-POJIDON
昨今のニューエイジ・リバイバルに乗ってか復刻され、ライヴまで行なうようになったデュオ。CD化はずっと前に一度されたきりだったはずなので、こうして音質を向上しての再発は嬉しい。今のブームがいつまで続くかは特に関心なしだが、こうした作品の再認知がもっと進めばよいと思う。一曲目と二曲目、そして「8月31日」がやっぱり好き。
V.A. / MUSICA_F_MUSICO Vol.5 修行
前回『孤高』時は参加させてもらったムジカFムジコのコンピ。今回のテーマは修行。皆さんお世話になってます。
CDrも売ってるから、まずは画像をクリックした先で聴いてみて。
Jack Or Jive ‎/
Kokorobito Live In Hong Kong 2008

香港のコレクター兼レーベル主YuenからもらったCD。JOJのお二人がまさか香港に移住されているとは知らなかった。音楽は近年お休み中だそうだが、時期が来ればまた再始動するそうだ。本作は08年のライブ音源。リチュアルな音響と声によるパフォーマンスは、ヴァジリスクなどと共振する、日本のポスト・インダストリアルの一端だ。
V.A. / Technicolor Paradise - Rhum Rhapsodies & Other Exotic Delights
究極エキゾ詰め合わせ。もう、こういうのだけ聴いてたらええよなと思うのは年の瀬のせい。とはいえ、夏はお世話になりました。LPだと3枚組という大ボリュームだがSpotifyにもあるのは嬉しい。チリチリしたノイズを隠そうともしない音質、フェードアウトで終わりがちな曲の数々、果てには「クァイエット・ヴィレッジ」が数曲収録と言うことなしである。
フィロソフィーのダンス / ラブバリエーション with SCOOBIE DO / ヒューリスティック・シティ
スクービーが参加している縁でチェック(昔は鈴木亜美やNEWSにも提供したこともあるんだぜ)。カップリング曲を聴くに、普段からダンサブル、それもエレクトロ・EDM路線ではないようだ。そこがバンドと意気投合した所以か。
若い層と組むのは、相手がやめてしまう又は一気に売れてしまって相手にされなくなるかの2つになりがちだが、そもそもスクービーと2マンってどれくらいのバリューになるんだろうか?フィジカルは8cmCDもあるらしい。
Andrew Chalk and Daisuke Suzuki / 山と梨
その装丁の良さから、毎回過度な保管をしてしまうシリーズ。二人の名義ではご無沙汰である。今年はチョークのソロもいくつか出たが、そちらは未購入。
ニューエイジのリバイバルとも全く合流しない孤高ぶりは変わらず。この夏、耳にしたヒグラシよりも、この中で鳴いているそれの方が「らしい」と感じるのは何故なのだろう。そして、それはいつ、どんな状況でやってくるのだろう。チョークの作品に満ちたノスタルジーにはただ消費されるだけの甘さはない。発売当時に買ったが、そのパッケージの厳かさから早々に物置奥へ置いてしまう。
Alvin Curran /Solo Works - The '70s
Spotifyでも配信されていた初期作品集。CDで持っていたが、旅先でストリーミングによる再生。勝手に「家のやつ」と呼んでいる『Maritime Rites』も好きだが、フィーレコ多様のこの時期も展開が豊富で楽しい。サンプルも子供の声とかでキャッチーだし。突如ラーガ的な精神的ロジックを取り入れたような『イルミナティ』、子供の声が美しくこだまする「Light Flowers Dark Flowers」が白眉。
bôa / serial experiments lain duvet EP
アニメ放映20周年を記念してか、スタッフを集めた対談記事、amazonプライム配信と注目されるトピックが目立った『lain』。そんな歳末にトドメの爆弾が投下ッ。bôaによるOPを別バージョン含めた4曲収録の7インチ。サントラ含めて適度に再生しているので今更感慨もないのだが、小中千昭氏による寄稿文が付いてくる。
チャボが手がけた方のサントラもアナログ復刻されたりして(盤面はレコードを模したものだったし)?
とにかく故・中村隆太郎氏に改めて合掌。
今年触れた中で特段気に入ったアルバムについてダラダラと書いた。付き合ってもいいぜという方は画像を...