紫明会館という、歩いていける距離にある場所でスクービーのアコースティックライブがあるというから流石に参加した。思えばライブを見るのはコロナ禍以降初である。従来は客が声を出しては揺れまくるライブだったので、声出し禁止やソーシャルディスタンスといった制約が窮屈だとか以前に、遠慮しながら演奏し、参加する図がいたたまれなかった。いつも隅っこの席で棒立ちだった自分でも思うほどに。 いつの間にか各種の規制が取り払われ、見た目だけならコロナ以前のライブが当たり前になった今日だが、かつてと同じような気分かといわれたら首肯は出来ない。バンド本人たちがナタリーだかのインタビューで、元通りってことにはならないとドライな意見を口にしていた。それとも、もっと時間が経てばこんな風には考えなくなるのだろうか。先がまったく見えないというか、思考と現実の速度が全くかみ合わないままの3年と半年であった。 いざライブが始まれば、着席制とはいえ声出しはいつも通りであった。とはいえ歌うことを招きはするが、煽りはしない振舞いに大人の作法を見た。拍手を求める曲が多かったのもその一環だった。何と真面目なことか。 コロナ禍がはじまって3年と半年、スクービーを最初に聴いてから今年で20年という事実に呆然とするが、時の流れしか自分を担保するものがない気もしている。もっとこの事実に深入りできたら、今起こっている出来事に悩む時間も減るだろう。楽な方がいいに決まっている。ただ、それができるかどうかは別の話だ。終演後は歩いてフレッシュネスバーガーまで行って、終日190円のビールに甘えてきた。もうこれ以上の贅沢はこの夏できまい。 セットリスト:真夜中のダンスホール→Guitar, Drums & Bass, Funky Microphone→One Short Summer→夕日の進むほう→アウェイ→光の射す道へ→恋をした男子→SUMMER BLUE(ブレッド&バター)→ウォーターメロン(東京スカパラダイスオーケストラ ft高橋幸宏)→八月の天使→美しい日→イキガイ→Cold Dancer→新しい夜明け→また会いましょう→ラストナンバー→バンドワゴン・ア・ゴーゴー
(23.8/29) |
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