久々にライブのレポートでも残しておこうと思う。この日は大阪でも興味深い催しがあったのだが、既に京都にて行なわれるこちらを先に予約していたのだった。今回は会場の磔磔が45周年、バンドのボーカルであるコヤマシュウが44歳をそれぞれ迎えるため、そのお祝いという名目で開かれた。 自分が「磔磔で」スクービーを見るのは6回目くらいだと思う。回数だけならば、おそらくは一番見ているバンドである。訪れる度に、客層の大部分が自分とは異なる世界に住んでいることを痛感する。家族で訪れる人、終わってしまったフェスのTシャツ(日付と出演するバンドの名前がズラーッとなってるやつ)、タオルを巻いて今にもジョギングを始めそうな人etc...。多くが翌朝の8時には電車に乗って働きにいくのだろう。バンドには「アウェイ」という曲があるけれど、そこで歌われている通りの心境になるなんてこともなし。なぜならこの曲の歌詞は、まさに彼ら彼女らへと向けられているような内容だからだ。言葉はただ通り抜けるのみである。 ライブはいつも通り、出囃のアート・ブレイキーから始まった。ずっと昔はニーナ・シモンだったらしい。いつからブレイキー(「A Chant For Bu」)を使うようになったのか。演奏が始まる前にドキドキするなんてことはなく、いつもこういうことを考えてしまうのだった。はじまりは「FLASH!」、音源以上にエフェクトまみれのイントロが耳を突く。6年くらい前に新代田FEVERで見た時もそうだった。今回のセットはあの時と重なるものが多く、珍しくギターがソリッドすぎるリズム&ブルース「GOOD MORNING」も披露されていた。素直に驚くべきは、例えば10年前のライブ盤なんかと頭の中で比較しても、目の前で起こっている演奏の方が遥かに凄まじいことだ。体験しているか否かの違いという意味ではなく、クオリティにおいてである。ここ最近はデモテープ時代の曲までセットリストに引っ張り出すのだが、どれも演奏によってアップデートされている。そんな曲を、わが子を大事にするようなところがまた泣かせる。 弾き語りを終えて再開されるバンド演奏。ベスト盤に未発表曲として収録された「Everything gonna be Alright」は、ここ数年見た中で最も素晴らしい演奏だった。あんなに楽しそうに歌っている人を見たことは、すぐに思い当たらないくらいには、ない。その後の「茜色が燃えるとき」も清々しかった。4年前の日比谷野音で見た時よりも良かった。詞はコヤマによるもので、本人お気に入りの一曲なんだそうだ。 (19.4/24) |
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