![]() 8日から17日にかけてロンドンへ行ってきた。最後に渡航したのが2019年10月から2020年1月にかけてのダブリン~ニューヨーク~ベルリン。COVID-19が広まる直前に帰国して以降、はじめてとなる海外旅行だった。まず出航時の搭乗券の発券や預かり荷物の登録など、端末から仕様まで変わっていたために、はじめて海外に行く人のような体でスタッフに質問する。入国してからも顔認証でほぼ済ますようになっており、観光目的で訪れたとかそういうのを尋ねられる過程がなかった。日本から来ていることも無関係ではないだろうけど。 深夜帯はヒースロー空港にいられないとか、これまで渡航していた人の声を拾ってはいたので、朝到着の便にした。ピークタイム時の地下鉄に乗るが、始発だから座れるだろうと安心してたところ、電車全体が大いに遅れているため、結局ハマースミスに行くまでに何度か乗り換えることとなった。電車内のアナウンスがはっきり聞き取れるかというとノーなので、当初は困惑した。 ロンドンは高い、というか日本円に対してポンドがまだまだ強い。1GBP=約200円で、アメリカーノ一杯が3GBP=600円ちょっと。クロワッサンを付けたら1000円はいく。結局リドルやアルディ(それぞれスーパー)で買い込んでホテルで食べるという節約に徹していた。西ヨーロッパで一番落ち着く瞬間といえば、あのゲート式入口のスーパーに入った時なので、自分としては特に不便はない。夕方にいけばパンもほぼ半額になっている。フルーツも日本よか安いですよ。 とったホテルの一つはエンジェルに位置していた。エンジェルはおしゃれな店がひっそりと路地裏に並んでいて、京都市の中京区中心の路地(新京極横らへん)とか東京の中央線沿いの街とか、ああいうところを思い出させる。路地を抜けて少し北上したところにあるFlashback Recordsは全3店舗で、今回すべて訪れることができた。中古がメインで、所謂ブラック・ミュージックや2000年代のハウス、その他多くのジャンルの新譜が並ぶ。自分が求めるようなものは正直ないと思いきや、1枚2ポンドのエサ箱コーナーにKPMによるライブラリー・ミュージックの中古を多数発見した。アラン・ホークショーらが担当していた時期の音源で、日本から買うには送料がバカらしかったものばかりだった。ここぞとばかりに買う。ついでにThe Incredible String Bandやシャロン・クラウスのアルバムも。エンジェル以外の店舗でも、工場労働者たちへの歌という意味でのインダストリアル・フォークを編んだオムニバス『The Iron Muse』が買えて、研究上かなりの収穫となった。 老舗Rough Tradeのイースト店舗にも出向く。フィータスの『Calamity Clash』のポスターがずっと貼られているのはどこの店舗だったか。行ったところは新譜がメインで、印象としては普通のレコード屋さんという感じ。 だが、小説なども置かれており、日本の作家をフィーチャーする棚もあった。音楽を売るだけでなく、わずかに外の世界へと繋げる意志は感じられた。言い伝えられる時代のそれにばかり気をとられているので、どうも現在進行形のそれに鈍感な自分がいた。でもジブリのジャズのLPとかデカデカと売られてもなーと思ったのは本音である。 店舗近くにあったアナーキー系書店FREEDOM BOOKSHOPは、今回訪れたお店では、真っ先に再訪したいと思う一件だった。反戦メッセージを話者数的な意味で少数派である言語に訳し、陳列してあるジンコーナー。持って帰ってくるべきだった。80年代から続く『THE RAVEN』のバックナンバーをいくつか、パレスチナ支援のポストカード、その他手織りのジンを買う。ジンを作るために作られたものではない、それだけで買うには充分だし、そんな例があることを発信したほうがいいのかもしれない。 (25.5/25) |
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