旅行記2018 pt2. アイルランド(ダブリン)~ロンドン


すっかり更新が遅くなってしまい、当時残していたメモと写真を頼りに記憶と文章を捻り出している。今回はダブリン4日弱、ロンドン2日という弾丸旅行の記録である。


 ゴールウェイからダブリンへは往路と同じ高速バスを既に予約していた。往路の時と多少遠回りのコースだったせいか、搭乗時間は4時間ほど。乗り物酔いに耐性のない人は少し辛いかもしれないので、事前に水や薬を用意しておくことをお勧めする。斜め前に座っている婦人はなんと編み物をしていた。
 ダブリン市に入ると一通りの観光名所を横切って空港へと向かっていく。私はホステルの最寄り駅であるオコンネル通りで下車し、そのままチェックインした。オコンネル通りにある銅像は市の中心部にあるもので、銅像下には沢山の観光客が腰を下ろしている。
 ダブリンは市内のど真ん中をリフィー川が流れ、そのまま湾へと繋がっている。そのせいで水鳥、ウミネコたちがそこら中を飛び交っている。エサをやる人が必ずいるため、目の前まで近づいても驚かないやつが殆どである。
 今回選んだホステルは市の中心ゆえに、昼間は喧騒と呼ぶのが似合う仰々しさだ。夜中になると静まるも、ドミトリーというのは客たちがひっきりなしに出入りするため、四六時中騒がしい。この宿ではそれを思い知った。それは避けられないものとして、ホステルの評価に大きく左右するものの一つがシャワーである。荷物の管理が不安な間取りだったり、そもそもお湯の出が悪いなどの懸念すべき事項は多いのだが、今回のホステルは個室かつ快調なお湯の出具合で安心できた。少し割高であったが、朝食のバイキングもかなり充実していたため、損はしなかった(あまり良くない考え方かもしれないが、手持ちがないもんで)。もちろん、多めにパンなどをせしめて昼食代を浮かす。夜間はキッチンが使えなくなるのが当たり前らしく、朝方まで使用できたゴールウェイのホステルがむしろ珍しかったようだ。


 滞在中の天候はほぼ晴れ。気温は15度前後で湿度もないため自分好みの天候であったが、日差しはやや強めであった。実際に日焼け止めを塗っている人も多く見られた。写真のように川沿いのテラスで食事をする人には必須と言える。ただ、鳥たちがお構いなしにやってくるので自分は食べる勇気はなかった。
 ダブリンに滞在するのは二度目だが、前回は一泊だけという短さゆえに街の概要を把握まではできなかった。ゴールウェイほどではないが、やはり狭い都市なので踏破するのもそれほど時間はかからなかった。
市の中心にはトリニティカレッジや美術大学があり、ゴールウェイと同じように学生がそこら中を歩いている。そのおかげか、やはり歩いていても物騒な雰囲気は少ない。大学のすぐそばには繁華街にあたるエリアがあり、大量のパブ、お土産屋、レストランもろもろがある。歩いている途中に大雨に降られ、慌てて入ったバーガーキング以外は外食なし(アメリカンコーヒーMサイズが260円)


左は中心部にある巨大な公園。新宿御苑に近い雰囲気である。水鳥と鳩だらけで、鳩の怪我を治す最中の老人と少しだけ会話した。ダブリン市は中心部から少し離れれば一気に景色が変わってしまうため、歩いて回れるここら一帯こそがダブリンと呼ばれているものだ、とも教えてくれた(郊外が悪いと言っているわけではない、はず)。観光で食べている土地にはよくあることである。
中央はトリニティカレッジ近くの交差点。トラムとバスが走っているため入り組んでいるが、それ以上に信号を守らない人々があらゆる角度から進んでくる。うかうかしているとクラクションまで鳴らされるので、せめて車の確認は怠らないように。
右は遡ってゴールウェイ鉄道の駅。ここからダブリン市内のヒューストン駅へと向かう列車が出ている。私は今回も乗らなかった。前回書いたことと重なるが、ダブリン市内を循環するバス含めて多数の路線(後述)があり、高速バスも併用すれば全土を移動できてしまうのだ。


橋々にむらがる鳥たち。その横には大道芸をするものや浮浪者もいた。


 ダブリンの物価はゴールウェイよりも高い。スーパーを比べてみるだけでも歴然である。中でもアイルランド資本の「スーパーヴァリュー」は抜きんでており、ここで幾つか買ってしまったのは少し失敗だった。米国資本の「アルディ」は良心的で、大通りにある青果市場とここで主な食材を買い貯めた。ルッコラ、パスタ、味付きハム、マッシュルーム、鶏肉あたりが(比較的)安い。あとはホステルの余りものコーナーに投げ込まれた食材でやり過ごした。
 ダブリンでの洗濯はホステルに任さず、こちらでコインランドリーを利用してみた。が、サービス=「他人にやってもらうこと」は高い(そもそも最低賃金が日本より上なのもある)という文化圏なのか、高い。1回の洗浄で5ユーロ。乾燥は1回1ユーロ。実はホステルの洗濯も有料で、安くはない。洗濯ネットに詰め込んで、他の誰かが洗う時に一緒に入れさせてもらうのが一番賢いかもしれない。


下は気になって入ってみた書店『シークレット・ブック&レコード・ストア』。入ってみれば、自分が好きな要素を全て詰め込んだような物件であった。ヴィンテージ含めた美術書、ペンギンブックス、手芸だけの棚など完璧であった。購入したのはお土産用のグラフィックノベルとヴィンテージのレディースファッション写真集。音楽のコーナーもあったが所謂インディー・ロック、それも00年代に人気が出たバンドが多く、後はジャズとディランという定番具合。右図はイベントのフライヤーで、店のシャッターや通路にはそこかしこに貼られている。


 短い滞在だったダブリン。出発の日は強めの雨であった。身体が芯から冷えるため、ホステルでありったけのホットコーヒーとお湯を吸収する。朝7時に出発したが、同じようなスケジュールの旅行者も多く、みな各々のバスストップへと歩いていった。
 ここからダブリン空港へと向かうわけだが、その手段はバス、その中でいくつかのタイプが選択肢として出てくる。一つはダブリン市バス。安いが多くの停留所に止まるため時間はかかる。次にバス・アイラーン。ゴールウェイなどの都市とダブリンを結ぶバスなので、その道程で乗る。最後がエアリンクで、私は
昨年のダブリン←→空港間の移動にもこれを使った。エアリンクはダブリン市内と空港の間をぐるぐる回っているバスで、片道7ユーロ(オンライン予約で6ユーロ。紙に印刷して運転手に見せないと無効。注意)と割高であるが、少ない停車かつ確実に空港へと向かうため信頼度が高い。ダブルデッカーだが一階席はトランクを置くスペースが多くを占めているため、旅行者をターゲットにしたものだろう。
 余裕をもって空港に到着し、次はロンドンへのフライトである。使うのはLCC(格安飛行機)・エアリンガス。アイルランドの航空会社で、国の色でもある緑一色の飛行機でも有名である。LCCは大手航空会社のように至れり尽くせりではないが、その分安い。ヨーロッパ間の移動をするにあたって有難いものなのだが、その分気を付けていないと痛い出費をすることもある。日本の高速バスのような価格競争の歪も所どころに見られるが、ここでは割愛。以下、エアリンガスのチェックイン~搭乗までの流れを書いてみた。

 まずは空港でチェックイン。ダブリン空港(ターミナル2)にはエアリンガス専用のカウンターと端末があり、そこでチケットや手荷物のステッカーを発券できる。問題なければ一人で全ての手続きを完了できるのだ。しかし、エアリンガスに限らずLCCは機内持ち込み荷物の制限が厳しい。持ち込めるものはせいぜいハンドキャリーバッグ1つと小さなリュックサックくらいだ。大きすぎるとスタッフから注意を受け、その場で特別料金を払って預け荷物扱いにされる。この辺は航空会社によってレギュレーションが違うため、持ち込める荷物のサイズなどは事前にチェックしておくべきだ。一番良いのは、どこか拠点となるホテルなり友人の家なりに大きな荷物を預けて身軽にしておくことである。

 チェックインできたからって油断していると、手荷物検査やゲートウェイへの移動で時間を食ってしまう。特に早朝やピークタイムの便は検査に長蛇の列ができる。あらかじめベルトを外したり、ラップトップを別に分けたりと備えられたし。

 時間がきたら搭乗。ここではちゃんと発券したチケット・またはスマホ上でQRコードを見せる必要がある。航空会社によっては印刷したものでないとダメ出しを食らうこともある。エアリンガスは搭乗の24時間前からオンラインチェックインと座席指定が出来るし、搭乗時はQRコードでのタッチもOKだった。予約できるおかげで、搭乗時に席の取り合いは起こらないが、高速バス的な隙間なし整列シート群はちと窮屈。
ゆったりとした席や食事サービスは有料であるが、ケチな私としてはここにお金を割くことは一生ないだろう、たぶん。ありがたいことにサービスでミネラルウォーターが出た。ダブリン→ロンドンまで2時間弱、片道5000円。激安で知られるライアンエアーならこの半分以下だが、後述する不備が怖いため、今回は予約しなかった。


 無事ヒースロー空港に着き、長い距離を延々と歩きながら地下鉄を目指す。途中、中国系アメリカ人観光客の方に道を尋ねられたため、一緒にホームまで歩いた。改札前で会釈して別れたのは、何故か印象に残っているひと時であった。
 ロンドンの滞在はこの日を入れて2日。しかもホステルのチェックインや、友人との待ち合わせ、そして夜にはライヴまで見に行くのだ。初めての土地でここまでタイトなスケジュールになるとは思いもよらなかった。組んだのは自分なのだが...。


 ヒースロー空港から出ているチューブ(地下鉄)に乗り、ホステルのあるシェパーズブッシュへと向かう。向かいの席と膝がぶつかりそうなくらい狭いチューブに揺られ、まずは乗り換え地点のハマースミスへと着いた。
チューブの利用には現金で切符を買うか、オイスターというICカードにチャージが主流だ。長期で使うならば後者がお得なのだそうだが、今回は移動も最低限にしてあるため切符を購入した。ロンドン地下鉄は1から6のゾーンという区域によって料金が定められており、ヒースロー空港はゾーン6にあたる。そこから中心部に行くため、それなりの値段はした。確か5.95ポンド。この時の通貨は1ポンド148円なので、900円前後だ。昔に比べればポンドは落ちた方だが、それでも高い。駅前の喫茶店でもバナナ、小さなサンドイッチ、ホットコーヒーの3つで800円はした。
 写真はハマースミス駅前。ロンドンだけあって人種のばらつきも目立つ。乗り換えるためにサークル・ラインと呼ばれる路線の駅にいったら、自動改札が反応しない。焦って駅員に尋ねたら、そのまま乗ってくれというラフな指示をいただいた。終点のシェパーズブッシュではちゃんと反応したので良かったが、乗り換えにはやや不安が残った。また、今回はバスにも乗っていない。


 シェパーズブッシュはショッピング街として有名だそうだが、私が訪れたエリアはそこまで活気づいているようには見えなかった。アーケードらしきものはあったが、ひたすらパブとエスニック料理(日本含)が立ち並んでいたような・・・下の写真は電車の駅を降りてすぐの光景である。
 10分ほど離れた場所にあるホステル(家族で運営)にチェックイン。ここで合流予定だったイタリアからの友人・Juan Scassaと落ち合う。Juanとは知り合ってそこそこ経つが、実際に対面するのはこれが初めてであった。彼は日伊翻訳家兼ミュージシャンで、拙著でも一度インタビューをしている。巻きたばことボロボロのコートという、ヨーロッパの中流少し下~低所得層の若者像そのままであった。
 上でも書いたように、この日のスケジュールはタイトで、チェックインを済ませたら次はお目当てのライヴ会場へと向かった。無事に堪能した後は急ぎ足でホステルに帰る。ルームメイトは既に寝ていたので、ここでの会話は非常に少ないものだった。


 翌朝。目覚め次第着替えては支度を終え、歩いてハマースミスまで向かう。だいたい20分ほどなので、それほど苦ではなかった。Juanにコーヒーをごちそうしてもらい(前夜にパブでも奢ってもらった。全く頭が上がらない)、出会いを記念したセルフィーをこさえて別れる。
 足早にヒースローへと戻った後は、次の目的地ベルリンへと向かうべくLCC・ユーロウィングスのチェックインを済ます。エアリンガスに比べて割高だったユーロウィングス。手荷物を1つ追加するサービスもエラく高額だった。
繰り返すが、ヨーロッパ間を行き来する場合は拠点となる物件に大きな荷物を預けた方が良い。セキュリティ的に不安の向きもあるだろうが、この手荷物追加料金は安くても20ユーロはするため、重なるとバカにならない。しかも予約してコレである。当日申請だったら更に高額を請求される。搭乗時はチケットをスマホ越しではなく、紙に印刷した状態で見せる必要があるため、ここも怠ってはいけない。激安で知られるLCC・ライアンエアーはチケットを忘れると料金の数倍もする手数料を払う羽目に遭う。
 ユーロウィングスでは水すらサービス対象外というシビアな現実に直面したが、隣の婦人にパックの水を譲ってもらえた。1時間ほどのフライトでケルンのボン空港に着く。そこで乗り継ぎをするのだが、ここでひと悶着あった。
まずは乗り換え客用のゲートを案内されると、いきなりドイツに来た目的を問われる。英国はシェンゲン協定(協定を結んでいる国間は審査なしで入国できる)非加盟なので、ヨーロッパの他国へ行く時は入国審査が必要なのである。ここでは、その入国審査を行なっているだけだったのだが、私はそれを「最終目的地」であるベルリンで行なうものだと勘違いしており、あらぬ疑いをかけられているのかと慌ててしまったのだ。更に乗り継ぎ時間の猶予は30分ほどしかない。加えて、乗り継ぎ用のパスを発行してもらうことまで忘れていたため、危うく搭乗できないところであった。LCCゆえに次の便に回してもらうなんてことは(追加料金を払わない限りは)不可能。今回の旅行で一番焦った時間であった。
ベルリン行きの飛行機はギュウギュウで、失神するかのように寝ているうちに夜間のベルリン着。2年ぶりのテーゲル空港である。ATMが動いてなかったので若干ヒヤヒヤしたが、クレジットカードのおかげでバス券を買えた。

こうしてお世話になるオスローザー近くのお宅までたどり着いた。10日ちょっとのベルリン滞在は、ひらすらダラダラする合間に少しだけ仕事をするものだったが、ここ数年で一番リラックスできたのは間違いない。その理由(というには大げさだが)については次回話そう。今回に輪をかけて雑な内容になりますが、今年中にはアップします。 (18. 12/21)