Pt.2 調査・研究方針と協賛の募集

長く、ハッキリしない部分もあるかと思いますが...。
自己紹介と活動方針をしたためた冊子を配布していますので、併せてお読みください。

1 主な研究対象

 「インディペンデント」や「アンダーグラウンド」と称される芸術活動が主となる。しかし、今日の同二語は商業的タグの一つともいえるほどにありふれた語になっているため、より具体的にするためにも個人的に定義しなければならないし、それが外に伝わっているかどうかも念を置かねばならない。その表象は様々だが、根底に非多数派と反権威の精神といっておきたい。ある者の数少ない同調者たちが制作を手伝ったり、あるいは互いを支援するための輪、秘儀的とさえ呼べるコミュニティが形成され、その多くが(表面的に取りざたされることはあれど)消えていく。そしてまたどこかで似た精神性を宿すものが生まれてくる。これらの多くは無銘というには自我が強い。しかし、それをもって己の帝国を拡大しようと躍起になるわけでもない。日々の記憶、人生の刻印としての芸術があり、それが積まれては消えていくのみである。拙著『ナース・ウィズ・ウーンド評伝』はNurse With Woundというペルソナを用いる芸術家の一活動を伝記としてしたためたものだが、こうした書籍は当人が活動を開始してから40年以上書かれてこなかった。このように広大な空白を少しでも埋めようという試みとして執筆している。

2 私慾抜きのニュー・ジャーナリズム(できるのか、それは?)
 これら芸術活動の研究をする上で、赤田祐一「ニュージャーナリズム小論」にて明記されていた、「書き手の視点から綴る」・「取材不可能と思われている対象に接触して記録する」ニュー・ジャーナリズムの手法と、柳宗悦が「民藝」を定義する際に使用した「無銘」と「己を忘れたい慾(よく)」からなる精神性は示唆に富むものである。やみくもに美を、対象の美的価値を讃えるだけではなく、それがいかなる役割を果たしているのか。それがどこからやってきたのか。こうした存在の出自と、文化あるいは個人の精神への作用もまた、美を讃えることと同じように理解せねばならない。美、用、由来、これらのはざまにある秘儀を悟ってはじめて芸術に向き合えたということになる。そして秘儀に気付く時は決まって主観的で孤独な瞬間である。このように、相反するように見えるニュージャーナリズムと民藝的態度が共存した研究をしていきたい。
研究中に自分の中の慾に気付いたとして、そこには自己を洗い清めたい慾と、逆に絶対のものにせんとする慾がある。自然に生まれては枯れていく芸術の前では、己を忘れたいと願わない限りは対象を見誤る。研究する側の私慾が強ければ、何を対象にしようとも同じ陰影がつきまとう。柳の民藝観からは無菌室的ともいえる態度も見てとれるが、追及は見失うことと背中合わせであることの教訓といえるのは確かだ。
再び『ナース・ウィズ・ウーンド評伝』を例に出すと、この本では著者(私)個人の思考や意見を記すことは極力避けている。事実を重ね、個々のそれを適切な個所で接続しているに過ぎない。

3 可能な限り無償で公開したい
 研究事項は基本的にできる限りweb上に公開し、容易にアクセスできる状態にしたい。このサイトの一角を図書館のようなものにしておきたい。表面的にすくいとってザッピングすることはせず、難解なものの難解さはそのままに、しかし、現実にこうした対象が存在している・していた事実を提示したい。星々の存在を示すことと、その輝きを綺麗あるいは醜いと評することは大きな違いである。その星があることと、それがどのように生まれ、どのような役割を果たしているかを考えれば、美醜といった二元的な判断は別の機会に託すべきである。
忍冬資料室というコーナーでは調べごとや海外の雑誌上でのインタビュー記事の日本語訳をアーカイヴしている。

4 雑誌発行の意義

 発行誌『FEECO』は当初、海外の作家たちの声を載せるために日英併記の形式をとっており、現在でも一応はそのフォーマットを維持している。n番目の主流メディアになるという大それた野心はなく、かといってジン(今日の資本側が喧伝する商品としてのものとは別)のように個人的であるとも言い難いほどには頒布している。機関誌というのにはかっこをつけすぎている。なんにせよ、異なる世界間を行き来するための廊下のようなものでありたい。廊下は開放されてこそである。横文字に頼るならばプラットフォームという概念が一番ふさわしいかもしれない。現在進行形の出来事を置く場としての雑誌。そして必要なものに届き、受け手から次の受け手へと広がっていく閉じられた性格を持つ媒体(やっぱりミニ・コミュニケーションことミニコミが適切か?)。ゆくゆくは『FEECO』バックナンバーをウェブ上で公開していきたいが、当面は運営費のご支援をお願いする次第である。

5 協賛・寄付の問い合わせ・送付先

 値段をつけて売ることは「開かれた」状態から離れていくことでもある。プラットフォームとしては無償を維持したいが、それにはどうしても資本がいる。雑誌の印刷代から、発行者の運営費(家賃やサーバー使用料、資料収集費用など)など出費は多く、広告費の類もない。当方、副業で短期派遣を繰り返す日々で安定もしなければ高給でもないため、常日頃経済的に苦難している。こうした条件はあまねく人々に該当するため、手伝ってもよいと強く思える方にのみ協賛をお願いしたい。ここまで読んでご理解いただけた方はぜひご一報ください。
 

info [@] atochi.sub.jpまたはhirayamakun3 [@] gmail.comまでお問合せください。

Paypal送金先:hirayamakun3 [@] gmail.com

銀行振込先:三井住友銀行 永山支店 普通 7011127 ヒラヤマユウ
一度に12000円以上お送りいただいた方は、当日から1年間、新旧の製作物を無償でお送りします(在庫あるものに限ります)


協賛様宛に送るメンバーシップカード

概要1へ



Copyright(c) 2023 YU HIRAYAMA All rights reserved.