昨年11月に亡くなった加藤デビッドホプキンズさんの追悼ライヴがベアーズにて開かれた。予約限定だが満員。コロナ禍以降では間違いなく最密。なんとも懐かしい光景であった。主催の山本精一さんが繰り返していたように、撮影・記録・アップロードの類は一切禁止とのことだった。よってこのページでも、当日入り口に貼られていたポスター類の写真は載せない。演奏に関しては、みな気持ちの良い音だった。想い出波止場は30分にも満たない演奏だったが、あのデタラメなようで完成された(されてしまう)構成と密度に圧倒された。 デビッドさんとは2017年の京都アーバンギルドで開かれたTACOのライヴで初めてお会いした。長く話したのはその時が最初で最後となったのが悔やまれる。かの日は、初めて見た空間現代に興奮しており、その後も錦林車庫前にある空間現代所持するハコ「外」にも足を運んでいたようだ。 デビッドさんが果たした業績は数知れないが(詳しくはここを参照)、一言で表すならば、異国・異言語・異文化を理解することはできないという思い込みを粉砕していたことに尽きる。境界を溶かして新しい路を引くのは常に周囲と異なる誰かであり、対象と同化することでそれができるということ。デビッドさんこそは私の身近にいた(それだけにあまり話せなかったのが無念なのだけど)ニュー・ジャーナリストであった。氏を偲ぶ場がベアーズであったことを喜び、合掌した。 (23.3/30) |
---|