聴いたブツをまとめるページは別にあるが、今回はbandcampで購入したものに限って紹介してみる。今年はあまり買う暇も意欲もないのだが、そんな時に出会った縁含めて大事にしていきたい。例によって見づらくてすまん....。
Eevee / eevee beat tape 04
アルバムというよりはマテリアルを集めたものだろうか。old beatsとキャプションにあったので未発表のトラック集と言った方が正しいのかも。ほぼ8小節のループなのだが、とにかくサンプルが良い。持ってきたのか自前なのか判断しにくい音質だが、ネタ選びで勝負してないところがクールだ。ジャケットから無節操なものかと思い込んでいただけに良い意味でショックだった。去年のSalami Joeにも通じる。ところでこのジャケットは、何のキャラクターでしたっけ?
Dave Phillips / South Africa Recordings
元フィアー・オブ・ゴッドのデイヴ・フィリップスだが、フィーレコに凝っている人とは知らなかった。南アフリカでの録音で、実に36ものトラックが収録されている。2つの録音を重ね合わせるなど、加工もそれなりにしているようだ。ヘッドフォンで再生すれば気分は南アフリカ・・・となるわけはなく、不気味なほどの静けさ(音がしないという意味ではない)が、逆に非自然的なイメージを作り上げる。
Noveller / A Pink Sunset For No One
元コールド・ケイヴ、JG Thirlwellとの競演でも知られるノヴェラー。てっきりジムのプロデュースかと思ったら(そんなアナウンスがされているような気がした)ソロであった。コラボはジム側で出るのかな。
これまでの実験的な側面を持ちつつも、叙情的なコードや倍音を使った曲が多くなっている。ジムのプロジェクト、マノレキシアにも近い難解さとポップの間を行く内容だ。ジムとの違いはやはりギターが主役であり、演奏に拘っていることだと思う。長きに渡って楽しめそうなだけに、日本でも人気が出てほしい。
Sereno / Adivinhar o Futuro das Estrelas
ジャケットが良かったので聴いてみたら、キャプションに100%DIYという文字列が。スローな弾き語りの割にはハイハットを刻みまくって謎のスピードを見せたりと、折衷というにはちょっと雑然としている。ブラジルからのリリースということだが、こうしたサウンドが流行っているのだろうか。最後の曲で突然シンセを使い出し、ますます時代と国籍が判別しにくくなるのは天然なのか狙っているのか・・・そんなデモテープ感が素敵だった。歌詞が気になる。
Mary Ocher / The West Against The People
bandcampに限らず、今年聴いた新譜の中ではダントツで凄いと感じた作品。まず共同プロデュースがファウストのハンス・ヨアヒム・イルムナー、更に一曲ではディー・テートリッヒェ・ドーリスの名前が確認できる。ヴォフルガング・ミュラーが関わっているのだろうか。内容は上の名前を見るだけだけでもなんとなくNDW的なものを連想するし、そうと言えばそうなのだが、録音からアプローチまで洗練されていて、コンセプト先行かつプリミティヴな面がウリでもある歴代のNDWをハイグレードにしたように聞こえた。ちゃんと2017年っぽいと言えばいいのか。電子音や笛の音色はクラスターの長閑さとシュルツェの瞑想的なそれを併せ持ち、歌というよりは朗読・詠唱に近い声はダイアナ・ロジャーソン(UKですが)のよう。凄いのはこうした個々の音やパフォーマンスが調和しているところで、「Arms」の一見適当に見える打ち込みリズムや、次のピアノ曲との使い分けなどにそれが表れている。ロシア出身の30歳、ベルリン在住というアーティストすぎる出自含めて完璧だと思った。
(17.3/12)
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