Estrellita Mia Fanzine

https://estrellitamiazine.tumblr.com/

雑誌『FEECO』でもインタビュー記事を組んだチリのファンジン、『エストレリータ・ミア』(Estrellita Mia Fanzine)からバックナンバーが2冊届いた。実際のところ、届いたのは雑誌を出すよりも前のことだったが、誌内でこのZINEそのものについての紹介にページをそれ程割けなかったため、ここではEMの概要を改めて補足しつつ、中身もちょっとだけ公開しようと思う。

EMは複数のアーティストが参加する寄稿タイプのZINEである。異なるテーマで毎月発行され、その部数は70から80と多くはない。発信元はサンティアゴで、『FEECO』でインタビューしたレオナルド・カザスが編集長的なポジションとなり、ファンジン全体の方針を決めてはいるのだが、基本的にアーティストの作品をそのまま掲載するため、自発的な内容と言っても良い。参加者はチリの作家が多いが、時にはSNS上でオープンコールをかけたりする。
レオナルドはチリ内の大学講師や文科省絡みの仕事に関わってきた。ストリートのアートにまつわるプロジェクトにも参加し、ハイクラスな教育の一環として取り組まれるアートと、そうでないものを知っているし、より知ろうとしている。
インタビューでは掘り下げられなかったのだが、路上からギャラリーまで、アーティストが参加する空間を渡り歩いてきた彼がファンジンというプラットフォームに注目したのは、場所を用意されずとも出来る表現(発信)であったことが大きいと私は推測している。彼はインタビューの中で「さまざまなアーティスト同士が繋がる場所を作りたかった」とも話してくれたが、それなら「場所」を「きっかけ」と訳した方がよかったかもしれない・・・。

ファンジンといえばDIY、手作りでそれほどお金がかかっていないというイメージが強い。私がこの文化を知ったのはパンク経由なため、なおさらである。EMが少数生産なのは特殊な折り込みページにはじまる装丁を持ち、それらが一部ずつ手作りになっていることにも起因する。以下はその一例。





レオナルドが言うには、一つ一つの規模は小さいものだが、多様なコミュニティがチリのアート・シーンにはあるそうだ。当然「シーン」に含まれない、すくい上げられない領域もあるのだろうが、これ以上はこちらもわからないため、触れないでおきます。
インタビューに挙がったもので印象深かったのは、作家がギャラリーを借りて数日間だけ開く本屋、そしてLGBTQのアーティストのコミュニティである。EMでもメンバー全員がレズビアンのパンク・バンド、ホーレギアスへのインタビューが収録されている。こうした試みをバックアップする基盤が出来ているようだ。経済的にそこまで豊かじゃないし、ベルリンのようにアーティストに優しい土地というわけでもないようだが、ニューヨークに出ないと話にならなかった過去よりは文化的に発展していっているのは確かだろう。文化的な距離を縮めることに貢献したいからこそ、レオナルドはサンティアゴから発信しているのではないだろうか。
最後にEstrellita Miaとはソープオペラのタイトルからとったものだが、その意味は英語ならばLittle Star of Mine、私(だけ)が持っている小さな星、ということになる。

(18.3/11)