ROOMMANIA#203 ラジオコレクション

3000円以下で入手
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 ブックオフにて『ROOMMANIA#203 ラジオコレクション』を発見したので即座に保護した。もともとプレス数が少なく、とんでもない値段をつけているネットオークションに呆れていたところで入手できたのは素直に嬉しい。本作に限らず、『ルーマニア』関連のアイテムは殆どが高騰しており、忘れた頃に再販された『ポロリ青春』のサントラ兼企画モノもあっという間にプレミア入りしてしまった。またの再販を切に願う。
 このラジオコレクションはゲーム内のラジオでかかる曲をコンパイルしたもので、収録されているのは実在のミュージシャンである。そのラインナップはくるりも在籍していたカフェ・オレーベルと、ギターベイダーやセシルが看板だったBerry records周辺の人脈が主で、当時の宅録・インディーズバンドのスナップショットでもあった。00年のセガ、というかウェーブマスターは『スペースチャンネル』や『ジェットセットラジオ』といった音楽をフィーチャーしたタイトルを続々とリリース。『ルーマニア』もこれらと並ぶ位置付けをされている(と思う)。ゲームの主人公・ネジタイヘイ同様、ラジオから又はブラウン管から流れてくる曲が誰によるものなのかを知らずとも、コントローラーを置いたまま何もしなかったり、あぐらをかいてはまた足を崩していたのを思い出す(友達の家で)。

 2012年に出した同人誌で『ルーマニア』について書いたが、このラジオコレクションについても記載した。今では活動停止しているような御仁も多く、このままフェードアウトさせるのも勿体ないという考えからリスト化していたはず。はず、と書いたのはもはや手元に現品がないからで、確認しようもない。

 『ルーマニア』のファンサイトはやはり『ルーマニアックス』様が信頼の充実で、各アーティストの情報なども詳しい。ファンならずとも是非チェックしておくべき。今回は自分なりのラジオコレクション感想集ということで、サントラに収録または未収録問わず、ゲームで聞けるものについてダラダラと書いた。あまり大きな声では言えないのだが、自分はゲームでしか聴けないような音源を動画サイトにアップロードしている。詳細を知っている方は是非ご一報ください。
203


PEACE AND LOVE '99 / EELMAN
大声で言うには抵抗のあるワード、具体的にはタイトルに示される愛や平和もろもろを恥ずかしげもなくラップするEELMANによる一曲。ネタ使いは普通ながらトラックも良い。趣味じゃない曲もサラッと流れてくるのがラジオなだけに、幅広いジャンルから曲を採用している。本にも書いたが、自分は長年リリックの中で「PEACE and LOVE」と「ビーサンだ」(ビーチサンダル)によって韻を踏んでいると勘違いしていました。ちなみにこのサントラのライナーには全曲共通で歌詞は掲載されていない。

スネオヘアー / ナロウカーブ
スネオヘアー初期はもちろん、キャリアを通しても名曲の一つに数えられるであろう傑作がこれ。永遠の夏休み状態が続いている自分にとっては聴くのが正直辛い。でも独善的なノスタルジーにまみれたリリックではないよ。『SUN!NEO!AIR!』は名作。

キャッチアップ / つまんない
映画の主題歌も担当していたらしいガールズバンドだそうだが、スペースカンフーマン周辺ということ以外は知らない。ガールズバンドというフィルターを通して聴いてしまうと少々しんどくもあるが、特にそれを強調しているようなあざとさもないのが良い。歌が聴き取りにくいのもナイスだ。潔く2分弱のグランジもの。

The Silver Sonics / Got To Be Ska
スカッて90年代末あたりは流行っていたんでしょうか?ゲーム内の説明にも書いてあったが、実情はよく知らず。スカに限らず、ホーンの音色を聴くと意味もなく哀しくなって頭が痛くなる。それは放課後に鳴り響く軽音楽部の練習なのか、『みんなのうた』あたりで流れていた曲のせいなのか。また、底抜けに明るいわけでもない。それがまた、放課後(地獄の翌日の朝へと続く)っぽいのだ。

まひろ / 愛するための勇気
フルコーラスで入ってる数少ない曲。シュガーフィールズやくるりとも縁があるようだが、今何をしてるんだろうか?いろんな意味でフリーターすぎるリリックも、20代後半になった自分にとってはかなりの毒となり困惑気味。もうちょい素直だったらこの曲を愛聴できたかもしれない。でも、自分とのズレを確かめるのも曲の聴き方だとは思う。ラジオで突然流れてきた曲なら尚更。

Wandervogel / Theme from Twinbee
謎まみれのユニット。収録されているコンピレーションは全く見かけない。
スチャダラパー的な日本語ラップだが、1分弱という短さでも怠惰ぶりを発揮し、イカス。韻も全く踏んでない、さいだぁスタイル。

シジマ / Shell(In Room)
これはCDも持っていた。グランジバンド出身(ワルシャワという名前だそうだが、あのバンドの前身から?)、そこから弾き語りスタイルに移行した女性シンガー。結構録音が良く、宅録でありながら不自然な印象を受ける。歌詞も曖昧で、ディレクションが割と凝っている一曲。

HONDA LADY / 88 -eighty eight-
我らがホンダレディ。最初期のナンバーで、プロディジーやケミカル・ブラザーズに初期電気グルーヴを衝突させた仕上がりに。ビッグビートとは下世話でなければならぬ、とかつてのノーマン・クックを思わせる貫禄をぼんやりと発する彼ら。昔も今も曲とEPのタイトルがかっこよすぎます。(この曲は『ユーロビートボクサー』に収録)

LOVE SOUND SYSTEM / SNOW
DJジュリアーノとしても活動。国内ドラムンベースのコンピレーションにも顔を出しており、ジャングル最盛期~ドラムンベース終了(4ヒーロー言うところの)のテイストが好きな人にはナイス。曲名はもちろんアレの方。何も知らない大学生がラジオ越しにクラブカルチャアなるものを受信する構図が面白い。ラジオの醍醐味です。

千葉麗子 / Bkue Net
『バウンサー』でも歌っていた女性ボーカリスト。R&Bはラジオに不可欠、として色気のないネジの家にも容赦なく流れ込む。小学生の頃はこういう曲がちっともわからなかったが、今でもあまり受け入れられないのは進歩がないからだろうか。ダウンテンポな時代の徒花。

Cool Wise Men / Big Bong
またもスカ。アップテンポなナンバーで、「ハイッ」「チクチク」も堪能できる。一瞬聞こえる「ジングルベル」はライブでは絶対違う曲に差しかわるであろう予感を提供。現場主義です。

Richard Jacques / AM I ONLY DREAMING
海外のみリリースの『メトロポリス・ストリート・レーサーズ』より。曲名がオリジナルと異なって収録されている。リチャードは『ジェットセットラジオ』でもお馴染み、セガ製クラブミュージックを担うファンにはおなじみの御仁です。これはセラニポージ「僕のマシュ...」に通じるハウスで、そのカラーは対極の踊れるそれになっている。『ジェットセットラジオ』繋がりではギターベイダーの楽曲もかかる『ルーマニア』ですが、実はJSRより先に採用されています。ここ重要。

プラモミリオンセラーズ / 確認
チコピド(カフェオレーベルに在籍歴あり)にも通じる、ガジェット総動員宅録。短い曲がひっきりなしに出てくる、トイポップ未満一発芸以上のクオリティが最高。歌詞はひん曲がっている男の思考丸出しで、藤子A的です。
(15.3/6)